こんにちは、カピバラです。
「働き方改革」が叫ばれて久しい今日この頃ですが、みなさん、いかが働かれていますでしょうか。
私は、日本にいた頃と比べると、職場での残業時間は半分くらいに減りましたが、残念ながらここドイツでも残業が無くなることはありません。。
そんな私を横目に、今日もドイツ人同僚たちは定時で職場を後にしていきます。
あぁ、私の仕事は終わらない。。
しかし、そんなドイツ人同僚たちをねたむようなことはしません。
なぜなら、彼らはドイツという国の法律を遵守して、彼らの労働契約どおりに働いているからです。
この記事では、ドイツ人同僚の労働時間についてご紹介します。
この記事を読んでいただいたことで少しでも多くの方がドイツの働き方に関心を持ち、また、日本という国の働き方のあり方について考えていただくきっかけとなれば幸いです。
※なお、もちろん職種や役職によっては状況も異なるため、本記事のドイツ人同僚の働き方はあくまでもドイツ人の働き方の一例です。
基本は定時退社
定時退社が基本です。
後述する「労働時間貯蓄制度」があるため多少のバラつきはありますが、毎日決まった時間に職場を後にします。
いや~控えめに言っても、超うらやましい!!
(話はそれますが、今の10代の方々は「超」とか使うのでしょうか?)
そんな彼らは日本で言うところの「正社員」です。
(日本のように何でも屋ではなく、労働契約によって職務が定められているため厳密には異なりますが)
決して彼らに仕事がないというわけではないんですよ?
もちろん繁忙期には残業もします。
でも、法律で下記のように定められており、罰則もあるため、定時退社することが求められているんです。
1日8時間を越えてはならない(休憩を除いた時間)
法定労働時間:平日1日8時間を越えてはならない(休憩を除いた時間)
参考:基礎情報:ドイツ(2013年)4. 賃金・労働時間・解雇法制(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
残業も可能、だが…:1日10時間まで労働時間を延長することが可能
時間外労働(上限規制、割増賃金率):
労働協約又は事業所協定に定めをおくことにより、定期的に長時間の待機時間がある場合(労働協約又は事業所協定の定めが必要)、週日に1日10時間まで労働時間を延長することが可能。但し、12か月平均の週労働時間が48時間を越えてはならない(7条)。
参考:基礎情報:ドイツ(2013年)4. 賃金・労働時間・解雇法制(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
残業したら後日その分早く帰る:労働時間貯蓄制度
「労働時間貯蓄制度」とは、労働者が口座に労働時間を貯蓄しておき、休暇等の目的で好きな時にこれを使えるという仕組みである。
参考:ドイツの「労働時間貯蓄制度」—新たなモデルの行方(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
ドイツ人と一緒に働いていて「これはいい制度だな~」と感じるのがこの労働時間貯蓄制度。
例えば、定時が9時~17時の場合、ある日に1時間残業をしたとすると、翌日は9時~16時の勤務で残業分の1時間早く帰ることができます。
また、早く帰るのは1時間だけとかいう縛りもないので、例えば月曜日から木曜日まで1時間ずつ残業した場合、金曜日にその残業分4時間早く帰るというのもOKです。
そうするとですね、金曜日は早いところでは午後になると、または15時を過ぎると仕事を切り上げる人も多いので、レストランやカフェのテラス席では楽しそうに友人らとリラックスするドイツ人の姿を多く見かけることになります。
もうね、勝手にプレミアムフライデーですよ。
行政に言われなくても金曜日の午後を満喫するんです。
ね、超うらやましい!!
厳しいチェックと罰則、厳格な運用
「日本にも労働基準法があるよ」という方がいるかもしれませんが、それ本当に守られていますか?
もちろん、ドイツ企業であってもこの労働時間法に違反するところもあります。
しかし、ドイツの場合は行政によるチェックが厳しく、また罰則も厳しいため、経営者、そして従業員自身も厳格にこのルールを運用しているのです。
監督官は、事業主に対し罰金を課すことができる。これらの罰金は、事業主に自発的対策を促すためのもので、罰則的性質はない。さらに労働監督官は、命令した対策が順守されず放置された場合、業務停止、又は職場の機器の運転停止を命じることができる(労働安全衛生法22条)。
労働監督官は、直ちに執行するよう命じた対策が順守されない場合、事業主および従業員に対し罰則を課すことができる(5,000ユーロから25,000ユーロの範囲)(労働安全衛生法 25条)。…課せられる刑事罰には懲役刑も含まれる(労働安全衛生法26条)。
参考:ドイツの労働基準監督官制度(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
ドイツ人同僚のここを見習ってみよう
そんなドイツ人の働き方を見ていて、「日本人もこうすれば良いのではないかな」と思うことがいくつかあります。
日本の法制度を変えるには時間がかかるので、組織のルールや自分たちの意識を変えることでできることを挙げていきます。
残業は最終手段、 とりあえず目の前の仕事をするのではなく、定時内で収まるように仕事を取捨選択しよう
私の経験から言うとドイツ人同僚には「とりあえず」という理論は通じません。
前述した通り、彼らは基本的には定時内で仕事を終わらせることが求められているため、無駄になるかもしれないとりあえずの仕事をしている暇はないのです。
ゴールに向かって最短距離で最も効率よく仕事を進めることのできる指示、お願いでないと納得しません。
たとえ上司と部下という関係であっても遠慮なく議論します。
そのような状況ではとりあえず目の前の仕事をするのではなく、定時内で仕事が終わるように、本当に必要な作業と仕事を取捨選択する必要があります。
日本で働いていたことのことを思い返すと、もちろん私自身の働き方が未熟だったかもしれませんが、とりあえず目の前の仕事をこなすということが多々あったように思われます。
もちろん客先との関係などで仕事を断れない状況もあるかとは思いますが、これからは優先度の高い仕事を取捨選択し、やっても効果の低い、または行っても無駄になってしまう可能性のある仕事はきっぱりと割り切ってやらない、という意思決定が必要なのではないでしょうか。
100点満点の完成度を目指すのはやめよう、 及第点が取れれば OK
日本で働いているとどうしても細かい部分までこだわってしまうことが多かったように思います。
しかし、時間が限られている中では細かい部分までこだわってしまっては求められている仕事を全て終わらせることはできません。
もちろん、ドイツ人も丁寧な仕事をしますが、必要以上に細かい部分まで仕事をすることは稀だと思います。
求められる及第点が取れればOKとし、100点満点の完成度を目指すのをやめましょう。
そうすれば、空いた時間でどんどんと次に求められている仕事に取り組むことができます。
関係者は必要最小限に抑え、各担当者の権限を大きくしよう
ドイツ人同僚と働いていて感じるのは、日本よりも「ホウ・レン・ソウ」が少ないことだと思います。
場合によっては、しばらく報告がないと思っていたら、当初考えていたのとは全く異なる方向に進んでいた、または全く異なる結果になってしまった、というようなことが起こり得るためすべて賛成というわけではないのですが、 日本のように沢山の関係者にいちいち「ホウ・レン・ソウ」をして、また根回しをして、ようやく少し進めるような状況では、やはりスピードが足りません。
これを解決するには各担当者の権限を大きくすることが必要だと思います。
各担当者が、本当に必要な数の関係者と無駄のない調整を行い、事業を進め、適宜上司に報告をする。
それだけで調整に費やされる時間は大きく減るのではないでしょうか。
まとめ
☆ 残業したら後日その分早く帰る
☆ 労働者自身も法律・ルールをしっかりと守る
いかがでしたでしょうか。
日本とドイツ、文化や商習慣が異なるため、ドイツのやり方を導入すればうまくいくということはありませんが、労働時間が圧倒的に短いドイツ人の働き方を参考にすることで、日本人の労働時間をもっと短くすることはまだまだ可能だと思います。
ドイツ人の働き方についてはこちらの本にとても詳しく書かれておりおすすめです。

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